残酷な神が支配する (1)
2005年3月8日 漫画感想
母サンドラと二人、ボストンで暮らす15歳の少年ジェルミ。ところが大金持ちのイギリス紳士のグレッグが現れ、サンドラの婚約者となったことで彼の生活は激変する。一見、理想的な紳士のグレッグは、サンドラの幸福を盾にジェルミに肉体関係を迫り、やがて彼に苛烈な性的虐待を繰り返すようになる―――。
ここ最近嵌ってる作品。
文庫版で読んでるんだけど、未だ全部を読んでない。だもんで、感想って程のこともないけど。
というか、この作品の感想を書くのはなかなか難しい・・・。
比較的、敷居は低い気がする。キャラの感情の描写は一見判り易く、感情移入しやすい。
その一方で、噛めば噛むほどが味がでる、というか、読み返すたびに科白や描写に新しい発見をするような、奥深さ(いっそ底知れなさ)を感じる作品。
作品に盛り込まれた全てを読み取ることなんて、到底できないだろうな。
実は萩尾望都氏の作品って初期のものしか読んでないんで、物凄く久し振り。
特に少女漫画や少年漫画では、キャラの魅力でストーリーを転がすようなタイプが比較的多いように思うけど、萩尾氏の作品ってはっきりとストーリー中心型だと思う。
この長編(氏の作品では今のところ最長らしい)でこれだけ緻密なストーリー構成がされていることには驚くばかり。
入念に張り巡らされた伏線が、ストーリーの進行と共に解きほぐされていく様がとても面白い。
タイトルは、アイルランドの詩人イェイツの言葉で、『残酷な神』とは、自己破壊とか、自殺とか、死とかを意味すると言われてるらしいけど、今のところ未だその意味は良く判らない。
最後まで読んだら判るだろうか。
主人公のジェルミは繊細で優し過ぎる少年だ。
ガールフレンドのビビにグレッグのことを悟られ、詰め寄られてつい打ち明けてしまうのだが、勿論ビビは大ショック、そのまま別れてしまうことになる。しかし、その後ビビから仲直りしたいとの電話があったことを知ったジェルミ。
―――もうビビには何も打ち明けない。ビビの負担になるようなことは何も。だから仲直りしたい!
グレッグの恐ろしい欲求を結局は受け入れてしまうのも、サンドラを悲しませたくない一心だ。
ジェルミに拒絶されたグレッグから婚約を破棄されたサンドラが自殺未遂をしたときも、
―――どうしてぼくが、ぼくの存在がサンドラを何度も追いつめるのか。
なんて優しい、けれど哀しい魂だろう、と思う。
グレッグもサンドラも勿論そうだが、殆どの人は何らかの形で他の人やモノを犠牲にして生きている。その一方で、誰かの何かの犠牲になっているんだろう。そうして、互いに負担を負わせ合いながら、バランスをとって生きている中で、ジェルミは全てを自分で背負込もうとする。
それは優しいから、と言えばいいのか、他人に負担を負わせることで愛を失うことを恐れてるのか。
身近な人間ほどに、その愛が欲しいし、その一方で相手に負担を背負わせがちなものだが、負担を背負わせることで愛を失うことを恐れているようにも見える。
けれど、人間は色々な意味で何らかの繋がりがあるんだ、という気がする。誰にも負担を負わせずに一人で生きていける人間は、仮に居たとしても孤独でしかない。
何かの、誰かの犠牲の下で自分が存在していることを認識したうえで、例えば「愛」を語る覚悟が要るのかも知れない。
あぁ、全然書き足りないな。
また機会があったら書こう。
肝心のイアンのことを書いてないじゃないか!
確かにジェルミは美少年だけれど、私の好みはイアン。とにかく美人だ。
惜しむらくは、ホモとか性的虐待とか男娼とか、いささか読者を選ぶ傾向にあることだけれど、萩尾氏の作品は意外と男性ファンも多いらしい。
それにしても、ジェルミに向けるグレッグの眼が怖い。
夢に出てきそうで怖い。
マジで怖い・・・;;
ISBN:4091916112 文庫 萩尾 望都 小学館 2004/10 ¥610
ここ最近嵌ってる作品。
文庫版で読んでるんだけど、未だ全部を読んでない。だもんで、感想って程のこともないけど。
というか、この作品の感想を書くのはなかなか難しい・・・。
比較的、敷居は低い気がする。キャラの感情の描写は一見判り易く、感情移入しやすい。
その一方で、噛めば噛むほどが味がでる、というか、読み返すたびに科白や描写に新しい発見をするような、奥深さ(いっそ底知れなさ)を感じる作品。
作品に盛り込まれた全てを読み取ることなんて、到底できないだろうな。
実は萩尾望都氏の作品って初期のものしか読んでないんで、物凄く久し振り。
特に少女漫画や少年漫画では、キャラの魅力でストーリーを転がすようなタイプが比較的多いように思うけど、萩尾氏の作品ってはっきりとストーリー中心型だと思う。
この長編(氏の作品では今のところ最長らしい)でこれだけ緻密なストーリー構成がされていることには驚くばかり。
入念に張り巡らされた伏線が、ストーリーの進行と共に解きほぐされていく様がとても面白い。
タイトルは、アイルランドの詩人イェイツの言葉で、『残酷な神』とは、自己破壊とか、自殺とか、死とかを意味すると言われてるらしいけど、今のところ未だその意味は良く判らない。
最後まで読んだら判るだろうか。
主人公のジェルミは繊細で優し過ぎる少年だ。
ガールフレンドのビビにグレッグのことを悟られ、詰め寄られてつい打ち明けてしまうのだが、勿論ビビは大ショック、そのまま別れてしまうことになる。しかし、その後ビビから仲直りしたいとの電話があったことを知ったジェルミ。
―――もうビビには何も打ち明けない。ビビの負担になるようなことは何も。だから仲直りしたい!
グレッグの恐ろしい欲求を結局は受け入れてしまうのも、サンドラを悲しませたくない一心だ。
ジェルミに拒絶されたグレッグから婚約を破棄されたサンドラが自殺未遂をしたときも、
―――どうしてぼくが、ぼくの存在がサンドラを何度も追いつめるのか。
なんて優しい、けれど哀しい魂だろう、と思う。
グレッグもサンドラも勿論そうだが、殆どの人は何らかの形で他の人やモノを犠牲にして生きている。その一方で、誰かの何かの犠牲になっているんだろう。そうして、互いに負担を負わせ合いながら、バランスをとって生きている中で、ジェルミは全てを自分で背負込もうとする。
それは優しいから、と言えばいいのか、他人に負担を負わせることで愛を失うことを恐れてるのか。
身近な人間ほどに、その愛が欲しいし、その一方で相手に負担を背負わせがちなものだが、負担を背負わせることで愛を失うことを恐れているようにも見える。
けれど、人間は色々な意味で何らかの繋がりがあるんだ、という気がする。誰にも負担を負わせずに一人で生きていける人間は、仮に居たとしても孤独でしかない。
何かの、誰かの犠牲の下で自分が存在していることを認識したうえで、例えば「愛」を語る覚悟が要るのかも知れない。
あぁ、全然書き足りないな。
また機会があったら書こう。
肝心のイアンのことを書いてないじゃないか!
確かにジェルミは美少年だけれど、私の好みはイアン。とにかく美人だ。
惜しむらくは、ホモとか性的虐待とか男娼とか、いささか読者を選ぶ傾向にあることだけれど、萩尾氏の作品は意外と男性ファンも多いらしい。
それにしても、ジェルミに向けるグレッグの眼が怖い。
夢に出てきそうで怖い。
マジで怖い・・・;;
ISBN:4091916112 文庫 萩尾 望都 小学館 2004/10 ¥610
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