PLUTO (2)

2005年5月14日 漫画感想
人間の痕跡がない殺人事件、残された謎のメッセージ…その先にあるものとは!? 漫画界の2大巨匠がタッグを組んだ、近未来SFサスペンス。
ついに第3の殺人事件が起こった!刑事ゲジヒトは、世界に数体しかいないロボットの仕業ではないかと調査を進めるが…。アトムの登場でさらに物語は進んでいく。

浦沢直樹氏の作品を読んだのはこれが初めて。
1巻から読んでの第一印象は、非常に骨太な作品だなぁということ。そして、それなのに描かれるキャラの表情が非常に繊細なのが印象的。

手塚治虫氏の原作は読んだことない(そもそもアトム自体読んでない)ので、どの程度の翻案がされてるのか判らないけど、キャラそのものからして浦沢氏のものであることからも、新しい浦沢作品として創られてる印象を受ける。
1巻の最後から登場するアトムが、人間と変わらない男のコの顔をしてるのが凄く新鮮。お茶の水博士も、手塚キャラのベースが見える上で浦沢キャラに創り変えられていて、原作を尊重しながら独自の作品を創るという、途方もない作業を見事に実現されている気がする。

トラキア合衆国がペルシア王国に大量破壊ロボットが隠されていると主張して国連が調査団を派遣するだの、その結果ロボットの存否不明のまま戦争に突入するだの、どう見てもアメリカとイラクをモデルにしたストーリーだけど、この辺りは浦沢氏のアレンジなんだろう。
手塚原作そのものへの興味もあるけど、それを浦沢氏がどのようにアレンジしたのかに興味があるから原作を読んでみたい気がするけど、豪華版には手が出ないなぁ。

ただ敢えて言えば、この作品世界で、特にロボットが人間との間でどういう位置付けなのか、人間のロボットに対する意識とか、それを支える社会システムとか、断片的に描かれてはいるけど統一したイメージが伝わらない。そもそも「ロボット」とは何か、どう定義されているか、も判らない。
恐らくはこの作品で描かれようとしてるのは「ロボット」ではなく、「人間」なんだろうから、そこは必要でないということかも知れない。
ただ、作品世界に入る上での前提となる設定が明確にされてないところは、ちょっと読み辛い気がする。

ISBN:4091874320 コミック 浦沢 直樹 小学館 2005/04/26 ¥550

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