何かとロージーをいたぶるムヒョが可愛い。
わざと憎まれ口叩いて悪役ヅラなムヒョが可愛い。
ロージーに背負われて寝てるムヒョが可愛い。

――― というのはともかく。

死んでも現世に強い思いを残す霊の切なさや哀しさと、その思いを受け止め遺されて生きる人たち、そして、そんな彼らの思いを汲んで刑を執行するムヒョの判り辛い優しさと、彼を支える助手ロージーとの凸凹コンビぶり―――というのも確かに面白いんだけれど。
ムヒョ最大の敵であるエンチューとの確執の切欠が『才能』であったこと、そして天才と誉めそやされるムヒョの助手としての自信が持てずに自分には才能がないと落ち込むロージーの成長話でもあることから、この作品で描かれる『才能』とは何かが興味深い。

ムヒョの足を引っ張るばかりで落ち込むロージーが、ムヒョに選ばれたことに自信をもてとヨイチに言われ、かつてない力を発揮する。
けれど、その後やはり上手くフダを使えず、力を発揮できたときと違って今の自分には「思い」が足りないせいかと気付くシーンがある。
コミックス3巻まででは未だはっきり描かれていないけれど、想像するにこの「思い」が魔法律を使いこなす『才能』なんじゃなかろうか。

別に魔法律でなくても。
例えば、やりたい仕事やなりたいものがあるけれど、自分にはその才能がないんじゃないか?と自信をもてずに尻込みしてしまうことも多い。でも、それって、「才能がない」ことを自分への言い訳にしているような気もする。
どれほど努力しても、生来の才能とやらがないと本当にその仕事はできないのか?
そうではなく、強く目的意識をもって、それをやると自分に言い聞かせること、その「思い」を強くもつことの方が大事、ということかも知れない。

エンチューは執行人になるために凄まじい努力をしたけれど、それは貧乏な家と病気の母親を助けるためだった。もちろん親孝行なのは感心だ。けれど、そもそも執行人とは、霊に苦しむ人を助けるのが目的なのに、エンチューにはそういう正義感が乏しかったようにも見える。
エンチューに足りなかったものは、何のために執行人になりたいのか、執行人として何をなそうとするか、という目的意識だったのではないかという気がする。

そして、「天才」の評価に執着しながらムヒョに負け、彼に憎悪と殺意を抱くエンチューに向かって、「凡人」と言い放って彼の神経を逆撫でするムヒョ。他にもことあるごとに「凡人」を見下す発言を繰り返すムヒョだけど、彼自身が一番才能というものに懐疑とか不信を抱いているようにも見えるのは気のせいだろうか。
ムヒョが才能をどう捉えているのかとか、ロージーを助手に選んだ理由とかが、今後どう描かれていくのか楽しみ。

ISBN:4088738276 コミック 西 義之 集英社 2005/05/02 ¥410

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